学習塾、家庭教師と学習教材をクーリングオフ・中途解約するには
講師の質が悪い、やる気がない
高額な教材の解約を拒否された
・・・このような教材をめぐるトラブルが頻発しているのが特徴です。はじめから教材を売りつけることが本当の目的だったりするケースも少なくありません。
学習塾や家庭教師の勧誘でよくある手口
- 突然に、あるいは事前の電話アポで訪問。
- 無料進路相談や学力テストなどを口実に、ターゲットを呼び込む。
- 勧誘を、子どもと一緒に聞かせる。
- 子どもをその気にさせ、親が断りづらくする。
- 教材の解約に頑として応じない
→学習教材トラブルをご覧ください。
学習塾や家庭教師の勧誘で見られる典型例
※実際の相談や全国の事例を参照しながら独自にまとめたもので、あくまで例です。
【ケース1】少人数制だと聞いていたが・・・
学習塾のセールスマンが自宅に勧誘に来ました。「塾では子どもの能力に合わせた教材で学習指導する」「学校と違って少人数クラスなので、子どもの能力を伸ばしやすい」など、学校の授業と比較しながら少人数制のメリットを説明されました。
セールスマンの話がうまくて、一緒に聞いていた子どももやる気になったようなので、思い切って契約しました。教材費と合わせ、1年分24万円を一括で前払いしました。
ところが授業は少人数制といっても10数名のクラスで、講師も大学生のアルバイトだったりして、2ヶ月通ってみても効果がなく、むしろ子どもの集中力が低下するようになりました。塾に、残り10か月分を解約したいと申し入れましたが、「それはできない」と断られてしまい、困ってます。
【ケース2】その気になった長男の手前、ダメとは言えず・・・
当時、中学2年生だった長男に家庭教師の勧誘電話がかかってきた。そろそろ進学を考えないといけない時期なのかと思い、とりあえず自宅訪問を了承した。来訪した販売員の説明は、地域の進学事情や高校の難易度に始まり、家庭教師という形での個別指導のメリット、過去の実績など多岐に及んだ。隣で聞いていた長男もすっかりやる気になっていた。
週2回で高校受験終了まで120万円という金額には躊躇したが、子どもの手前、「やっぱりやめる」とは言いづらく、その場で契約書に署名捺印した。
次の週から家庭教師が来るようになり、最初の1ヶ月くらいはちゃんと勉強していたようだが、そのうち無駄話が多くなり、遅刻や無断欠席も増えた。業者に改善や教師の交代を求めても、何かと理由をつけて応じてもらえず、解約したい。
【ケース3】3ヶ月しか通っていないのに6か月分を取られる?
子どもが中学に進学したのを機に、学習塾に通わせることにした。週2回(月8回)の授業で授業料は年間48万円、他に教材費として5万円ほどという契約内容で、1年分計53万円を、事前に一括払いした。4月から普通に通っていた子どもが、6月に入って「辞めたい」と言い出し、6月末をもって解約した。
塾に残り9か月分の授業料返納を申し出たら、「当校では、退会届は9月末をもって締めることになっている。10月以降の6か月分の授業料しか返金できない」と言われた。
期間内なら速攻クーリングオフ
家庭教師や学習塾の契約は、契約にいたる経緯がどうあれ、一定の条件(2ヶ月超かつ5万円超)を満たすものならば、クーリングオフが可能です。何度か授業を受けていても、期間中ならクーリングオフできます。学習に必要な商品(関連商品)の購入契約も、合わせてクーリングオフできます。
クーリングオフ期間は、適法な契約書面を受け取った日から8日間です。多くの場合、それが契約日と重なると思われます。
この期間中にクーリングオフ通知書を証拠が残る形で発送しましょう! それが、現状では最も確実に契約解除できる方法です。
当職の対応方針は、クーリングオフ期間内の記事に記したとおりです。
クーリングオフの適用対象外
小学受験(いわゆる「お受験」)や月ごとの契約とみなされる月謝制の家庭教師や学習塾は、対象外です。浪人生を対象としたいわゆる「予備校」あるいは浪人生と現役生が混在したクラスはどうかなど、例外規定は、家庭教師と学習塾とで微妙に異なります。
関連商品と推奨品
家庭教師や学習塾の場合、受講契約だけでなく、それに付随して契約した教科書や参考書などの書籍類、カセットやビデオテープ、DVDなどの視聴覚教材といった商品の契約をどうするかが問題になることが多いようです。その際、些細な用語の違いが問題になることがあります。
- 関連商品=受講に必要な商品→クーリングオフの対象
- 推奨品=必要ではないがお勧めの品→クーリングオフの対象外
家庭教師や学習塾の契約をクーリングオフすると関連商品も同時にクーリングオフされます。この規定を逃れるため、業者が「推奨品」と称して契約を勧誘することがあります。仮に家庭教師や学習塾の契約をクーリングオフされても、「この商品は推奨品だからクーリングオフはできない」と言い逃れるためです。
関連商品は、政令で次の通り指定されています。
- 書籍(※教材や参考書、問題集などです)
- 磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物(カセットテープやCD、DVDなどです)
- ファクシミリ装置及びテレビ電話装置(遠隔授業などで使われることがあります)
関連商品か推奨品かは、実態を見て裁判官が判断します。書面上に「推奨品」と書かれてあっても、勧誘の実態、使用の実態から「必要な商品」と判断されれば、それは関連商品です。
関連商品を使ったり開封したりした場合
仮に関連商品を使ってしまったとしても、それが通常の使用にとどまるなら、クーリングオフができます。たとえば参考書に書き込みをしてしまったとか、問題集に回答を直接書き込んだとか、ビデオやDVDを開封して視聴した場合でも、期間内であればクーリングオフできます。以上はあくまで一般論です。クーリングオフの可能性は、個別の事例に応じて判断されることになるでしょう。
期間が過ぎたら中途解約
家庭教師や学習塾をはじめとする特定継続的役務提供にかかる契約は、クーリングオフ期間を過ぎていても、契約期間内であれば自由に中途解約できます。ただし、消費者側に一定の精算義務が発生することです。法が定めている精算額の上限は、簡単に言うと、
提供済みサービスの対価相当額+法定解約料+法定利率
です。これはあくまで上限です。
同様に関連商品(学習に必要とされる商品)についても、精算額の上限が定められています。
ひどい事例は書面で意思表示 → 解約交渉
社会正義の観点から「これはひどい」と評価されるような場合は、クーリングオフ期間が過ぎたとしても、解約に導く以下の二つの方法を検討してみましょう。
法定書面の不交付・書面不備
法律上は、クーリングオフできることが記載されていないなど、法定書面(多くの場合契約書)に一定の不備がある場合は、事業者が法の求める記載事項を満たした書面を交付するまでは、クーリングオフ期間は進行しない、というルールになっています。クーリングオフの起算日は「法定書面を受領した日から8日間」という規定からも明らかです。
法律にはこのようなことが書いてありますが、現実問題として、どんな些細な不備でもクーリングオフを認めるべきかどうかは、社会正義の観点から裁判官が判断します。裁判官も人間です。一般的傾向としては、その契約を当初から解除しなければ社会正義に反するという事情がある場合に、その根拠付けとして書面不備を使うケースが多いようです。
逆に言うと、適法に成立した契約を、契約書面に些細な不備があったからといってクーリングオフを主張できるかというと、実際の裁判では法の規定を悪用したとみなされることがあるようです。
契約取り消しを主張
契約の取り消しとは、要はクーリングオフ同様に契約を当初からなかったことにすることです。クーリングオフと異なるのは、取り消しには一定の要件が必要ということです。その要件とは「業者の嘘の説明(=不実告知)を信じて契約にいたった場合」などに限られています。もし、業者の不実告知を客観的に証明できるならば、この方法を検討すべきです。中途解約は簡便な反面、消費者側に一定の金銭的負担を求めます。
一方、契約の取り消しは金銭的負担をゼロにする代わりに、消費者に一定の立証責任を課す制度だと考えられます。不実告知は多くの場合、口頭で(つまり証拠が残らない形で)行われます。立証には相当の困難が予想されます。を書面で解約の意思表示をしたうえで、多くの場合、事業者と本格的な解約交渉を進めることになるでしょう。クーリングオフ期間が過ぎてしまうと、通知書一通ですんなり解決という訳にはいかないケースが多くなります。
それでも意思表示をすることが第一歩となります。全額返金とはいかないまでも、事業者なりの条件で解約交渉に応じてくれる場合だって、決して少なくありません。逆に意思表示をしなければ、このままズルズルと支払いが続くだけです。
ここで重要なのは、意思表示の中身です。さまざまなケースがありえますので、「こうしたらいい!」と一概には言えません。勧誘方法に大きな問題があり、同じ事業者による同様の被害や相談が、消費者センターに複数寄せられているようなら、裁判を念頭に、できる限りの法的主張をしておいた方が有利なケースだってあります。
法定書面の不備や勧誘行為の違法性その他もろもろの状況を検討しながら、方針を立てることになります。
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