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中途解約時の清算金をめぐるトラブルと対処法

清算金額に納得できない

英会話など語学学校の場合、クーリングオフよりも中途解約のご相談の方がはるかに多いのが現状ですが、その多くがタイトルの通りです。 契約時の安い単価ではなく、割引前の通常単価で清算金された・・・少ししか受講していないのに、お金があまり戻ってこない・・・。中途解約すると不利になるように解約損料を設定し、解約を阻止しようとする業者の戦略であることが多いようです。

中途解約の清算金をめぐるトラブルの典型例

【ケース1】受講は半分。でも料金はほとんど戻ってこない

契約時に「一度に多くのポイントを契約した方が単価が安くなる」と勧められ、250ポイント75万円のコースを契約した。しかしレッスンの内容に満足できず、約半分のポイントを受講したところで中途解約を申し出た。学校から提示された清算金額を見ると、返金されるのは5万円あまりになっていた。解約料の中に高額な信販の手数料が含まれていたり、受講したポイントの単価も契約時の単価ではなく、高い単価に変更されていた。

【ケース2】未使用ポイントは使用したとみなす

英会話を習いたくて、ポイント制・フリータイム制の教室と200ポイント約50万円の契約を結んだ。その後、仕事の都合で通学が困難になったので解約を申し出たところ、受講方法を変えたほうが得策と説得され、テレビ電話での受講に変更した。しかし、ネット回線の不具合で接続できず、結局家庭での受講を一度も受けることなく再度中途解約を申し出た。

実際利用したのは90ポイントだったので、半額くらいは返ってくると思って解約清算書を確認すると、利用済みポイントは150ポイントと計算されていて、さらに1回あたりのレッスン料も割高になっていた。

教室に説明を求めると、ポイントは有効期限を過ぎると、利用の有無に関わらず利用したものとみなされること、解約時はキャンペーン価格ではなく、通常価格で計算する契約になっていることを言われた。

【ケース3】10ポイントしか使ってないのに100ポイント使用済み?

英会話学校で3年間のレッスン契約をし、150ポイントを約60万円で購入した。全く受講できないでいたら、学校から「新たに3年契約を結べば、未使用の150ポイントは次の契約期間に引き継げる」と言われ、再度3年間150ポイントの契約をした。

2年間ほとんど受講できず、10ポイントを使用したところで中途解約を申し出た。

未使用分290ポイントが返金されると思っていたら、学校は「初回契約から引き継いだ150ポイントは解約時のポイントに含めない」とか「ポイントは利用の有無に関わらず、1年ごとに50ポイントずつ使用済みとみなす約束。解約時の使用ポイントは、実際に利用した10ポイントを含めて100ポイント。返金対象は50ポイントのみ」とか「使用済みポイントの単価は購入時のサービス単価ではなく、通常単価で計算する」などと主張して譲らない。

業者の経営戦略

単純に言えば、次のとおりです。

  1. 長期契約ほど単価を下げてお得感を演出し、できるだけ高額契約を結ばせるよう誘導
  2. 単価計算や未使用ポイントの取り扱いを、解約すると不利になるよう設定し、解約を妨害

こういう業者の一方的な都合にもとづく契約内容の設定が、解約時に様々なトラブルを引き起こすことになります。

ノヴァ裁判の影響

英会話大手のNOVAによる解約妨害の問題について、最高裁は、契約時単価を超える額の清算金を求めるのは違法・無効だと判断を示しました(2007年4月3日)。NOVAをめぐる裁判はこれだけではありませんが、特定商取引法の運用に大きな影響を与えた事例として、ここに紹介します。

裁判概要

600ポイントを約75万円で契約した受講生が、386ポイントを使用した時点でNOVAに中途解約を申し出たところ、契約時単価(1,200円/ポイント)ではなく、契約解除時の清算規定にもとづき、300ポイントのコースと同等の単価(1,750円/ポイント)で清算金が計算されたことを不服として、裁判を提起しました。一審、二審とも原告が勝訴。最高裁は2007年4月3日にNOVAの上告を棄却する決定を下し、NOVAの敗訴が確定しました。

決定の中で、最高裁は述べている要点を、以下に2点だけ紹介します。

  1. 解除があった場合にのみ適用される高額の対価額を定める本件清算規定は、実質的には、損害賠償額の予定は違約金の定めとして機能するもので、受講者による自由な解除権の行使を制約するもの。
  2. NOVAの清算規定は、法定限度額を超える額の金銭の支払を求めるものとして、無効。

英会話学校だけでなく、特定継続的役務提供にかかる取引に該当するエステ、学習塾・家庭教師、パソコン教室、結婚相手紹介サービスでも、契約時単価を超える清算規定を定めるのは無効であることが確定しました。

経済産業省の対応

上記の最高裁判決を受け、経済産業省は2007年4月12日、特定商取引法の解釈を次のように改めました。要約すると、次の2点です。

対価の計算に用いる単価

(旧)契約時の単価を用いるのが原則

(新)契約時の単価を上限とする。

旧解釈では、契約時の単価は原則であり、合理的理由があればそれと異なる単価を用いることを認める内容でした。新解釈では、契約時の単価は業者が請求できる上限であり、これを超える請求は認められないことを明確にしました。

解約時にのみ適用される高額な単価を定める特約

(旧)規定なし

(新)無効。そのような特約があっても、対価の計算に用いる単価は、契約締結の際の単価である。

※たとえば契約時に1回1,000円だったのに、解約したら1回1,500円で計算して清算するという条項が、特約として契約書に記載されている場合があります。それは実質的に損害賠償額の予定または違約金の定めとして機能するものであり、認められないという解釈を、盛り込みました。

対応上の要注意ポイント

まずは書面で解約の意思表示

クーリングオフにしろ中途解約にしろ、意思表示は書面で行うのが鉄則です。さらにその書面は、確かに送ったという証拠が残る形で発することも重要です。

そして何より、どんな内容の書面を送ればいいかというのが、決定的に重要です。

笠本行政書士事務所では、業者が法律上請求できる清算金の上限額を概算して提示するようにしています。不当に高額な請求を未然に防止するのが目的です。

意思表示の上で解約交渉

交渉がすんなりいく場合もあれば、両者の主張が食い違う場合もあるでしょう。行政書士は依頼人を代理して業者と交渉を行うことを禁じられていますので、ご依頼人様が直接交渉をする必要があります。あるいは、この時点で消費生活センターの機能を活用するのも一案でしょう。当職は、バックサポートとして全面支援します。

クレジット契約の場合

毎月の支払いを停止するために、支払停止抗弁書を送付します。

通常は、販売業者が清算額の見積もりを出す際、消費者の支払済み金額に応じて信販会社との清算も調整してくれます。

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