英会話などをクーリングオフ・中途解約するには
すでに受講した分はどうなる? 教材は?
中途解約時の清算額をめぐるトラブルも
英会話など語学学校の場合、一流大学の学生さんや一流ビジネスマンなど、被害者が意外と若いエリート層だったりします。「何度かレッスンを受けてみないと」と思っているうちにクーリングオフ期間が過ぎたり、時にはエリートのプライドが妨げになって、クーリングオフ期間を逸することもあります。清算金をめぐるトラブルも後を絶ちません。
英会話など語学学校でよく見られる手口
- 駅前や大手書店の中で呼び止められる。異性からのアプローチがきっかけになることも。
- 留学、海外旅行、国際交流などに興味はないかと、尋ねてくることも多い。英会話学校の勧誘とは言わないことも多い。
- 最近では、就職活動(就活)に絡めて勧誘するケースが増えている。
- 興味を示すと、近隣にある英会話学校に誘い込まれる。 人の向上心や、やる気を巧みに刺激する。
- 「やる気がない」と言いづらい心理を逆手に取り、「やる気はあります」と言わせるよう誘導する。
- 英会話ができるかどうかは、就職(特に外資系)や昇進、キャリアアップに大きく影響する、などと追い討ちをかける。
- ワンランク上の自分を目指すための自己投資などと、高額な出費への抵抗感を払拭しようとする。
- 予約がいつもいっぱい。期限までに消化できない。
- 長期の契約ほど割引率が高くなるよう料金設定する。途中で解約すると、割引前の単価にもとづく精算金を請求してくる。
※語学教室・語学学校(多くは英会話)の場合、中途解約時の精算金をめぐるトラブルが多いようです→精算金トラブルの記事をご覧ください。
英会話など語学学校の勧誘に見られる典型例
※実際の相談や全国の事例を参照しながら独自にまとめたもので、あくまで例です。
【ケース1】解約を一度断られて・・・
英会話を身につけてキャリアアップを図りたいと考え、全国的に有名な某英会話教室に自ら出向き、2年間で80万円の契約を結びました。
10回程通った後で仕事が忙しくなり、通うことができなくなったため、「解約したい」と相談しましたが「まだ始めたばかりじゃないですか。何とか頑張りましょうよ!」と叱咤激励され、応じてもらえませんでした。
1年経ってから、再度、「解約したい」と強く言ったところ、「今やめてもほとんど返金できない」と言われました。
【ケース2】いつも予約がいっぱいで消化しきれない
職場の上司から「来年アメリカ支店に転勤してもらうかもしれない」と告げられ、その準備のために英会話教室に通うことにした。職場近くにある大手の教室を選び、説明を受けにいった。そのとき、「多忙なビジネスマンの方でもこれなら1年で消化できます」と、300回のコースを勧められた。ほぼ毎日に近い回数なので不安を口にしたが「土日にまとめて消化すれば大丈夫。みなさんそうしていらっしゃいます」と説明されて納得し、契約した。
入会金、教材費含め総額約76万円は、一括で払い込んだ。ところが実際に始めてみると、自分の都合がつく土日祝日や夜の時間帯はいつも予約がいっぱいで、なかなか空きがなかった。これでは1年間に300回はとても消化しきれないと思い、教室に苦情を申し出た。しかし教室は「あなただけ予約を優先的に入れることはできない」「教室の増設や講師の増員も予定していない」とのこと。改善の見通しがたたないので解約したい。
【ケース3】書店で呼び止められ英会話学校を契約
大手書店の入り口を入ったところで、仮設カウンターの横に立っている若い女性に「学生さんですか?」と呼び止められました。立ち止まると、大学名を聞かれたり「ワァーすごーい」とおだてられたりして、つい話に引き込まれてしまいました。
そのうち英会話学校の勧誘の話になって無料体験レッスンを受けるよう勧められ、同じビルの10階にある学校に案内されました。一通りレッスンを受けた後、別室に案内され、感想を聞かれたり、英会話の必要性を強く説かれたりしていましたが「学生なので支払えるか心配」と断っていました。
ところが「就職に絶対有利になる」「将来の自分への投資だ」「月1万円のクレジットにすれば学生でも支払える」などと、2時間以上も説得され、断りきれずに契約してしまいました。
【ケース4】若い女性に一流大学の学生であることをおだてられて・・・
イベント企画会社のスタッフを名乗る若い女性から家に電話がかかってきました。口調が親しげで、いろいろ話しているうちに「会って話さない?」と誘われ、出向きました。
どこの大学か聞かれて答えると「すごーい、超一流じゃない」「就職も一流企業なんでしょ? 世界を相手にビジネスをするのね」とはやし立てられ、悪い気がしませんでした。彼女は国際交流関連のイベントスタッフだということで、話はいやおうなく英会話のことに流れていきました。
「将来のことを考えると、英会話ぐらいはできないとまずいんじゃない?」みたいな調子で、しきりに英会話の勧誘を始めました。うまくおだてられて断りきれなくなり、同じビルにある教室に誘われるままについていってしまい、その場でさらに強く勧誘されて、契約してしまいました。
主な被害者
20~30歳台の男女
自身のキャリアアップに関心の強い方が、その向上心を巧みに刺激されて契約にいたるケースも多いようです。一流大学の学生さんが、意外にあっさりと引っ掛けられてしまいます。「エリートなら英語くらいは話せないと・・・」みたいに、プライドを巧みに刺激されるのかもしれません。人のやる気や向上心を刺激する勧誘が特徴です。
期間内なら速攻クーリングオフ
語学学校の契約は、契約にいたる経緯がどうあれ、一定の条件(2ヶ月超かつ5万円超)を満たすものならば、クーリングオフが可能です。何度か授業を受けていても、期間中ならクーリングオフできます。学習に必要な商品(関連商品)の購入契約も、合わせてクーリングオフできます。
関連商品と推奨品
語学学校の契約をクーリングオフすると関連商品も同時にクーリングオフされます。この規定を逃れるため、業者が「推奨品」と称して契約を勧誘することがあります。
- 関連商品=学習に必要な商品→クーリングオフの対象
- 推奨品=必要ではないがお勧めの品→クーリングオフの対象外
仮に語学学校の契約をクーリングオフされても、「この商品は推奨品だからクーリングオフはできない」と言い逃れるためです。授業はおまけで、本当の狙いは語学教材の販売にあるケースもあります。
関連商品は、政令で次の通り指定されています。
- 書籍(※教材や参考書、問題集などです)
磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物
(カセットテープやCD、DVDなどです)- ファクシミリ装置及びテレビ電話装置(遠隔授業などで使われることがあります)
関連商品を使ったり開封したりした場合
仮に関連商品を使ってしまったとしても、それが通常の使用にとどまるなら、クーリングオフできます。たとえば参考書に書き込みをしてしまったとか、問題集に回答を直接書き込んだとか、ビデオやDVDを開封して視聴した場合でも、期間内であればクーリングオフできます。以上はあくまで一般論です。クーリングオフの可能性は、個別の事例に応じて判断されることになるでしょう。
クーリングオフ期間は、法定書面(法の要求を満たした契約書など)を受け取った日から8日間です。訪問販売では、それが契約日と重なるケースがほとんどだろうと思われます。
この期間中にクーリングオフ通知書を証拠が残る形で発送しましょう。それが、現状では最も確実に契約解除できる方法です。
当職の対応方針は、クーリングオフ期間内の記事に記したとおりです。
期間が過ぎたら中途解約
語学学校をはじめとする特定継続的役務提供にかかる契約は、クーリングオフ期間を過ぎていても、契約期間内であれば自由に中途解約できます。ただし、消費者側に一定の精算義務が発生します。法が定めている精算額の上限は、簡単に言うと、
提供済みサービスの対価相当額+法定解約料+法定利率
です。これはあくまで上限です。
同様に関連商品(学習に必要とされる商品)についても、精算額の上限が定められています。
ひどい事例は書面で意思表示 → 解約交渉
社会正義の観点から「これはひどい」と評価されるような場合は、クーリングオフ期間が過ぎたとしても、解約に導く以下の二つの方法を検討してみましょう。
法定書面の不交付・書面不備
法律上は、クーリングオフできることが記載されていないなど、法定書面(多くの場合契約書)に一定の不備がある場合は、事業者が法の求める記載事項を満たした書面を交付するまでは、クーリングオフ期間は進行しない、というルールになっています。クーリングオフの起算日は「法定書面を受領した日から8日間」という規定からも明らかです。
法律にはこのようなことが書いてありますが、現実問題として、どんな些細な不備でもクーリングオフを認めるべきかどうかは、社会正義の観点から裁判官が判断します。裁判官も人間です。一般的傾向としては、その契約を当初から解除しなければ社会正義に反するという事情がある場合に、その根拠付けとして書面不備を使うケースが多いようです。
逆に言うと、適法に成立した契約を、契約書面に些細な不備があったからといってクーリングオフを主張できるかというと、法律上はできますが、裁判実務上は法の規定を悪用したとみなされることがあるようです。
契約取り消しを主張
契約の取り消しとは、要はクーリングオフ同様に契約を当初からなかったことにすることです。クーリングオフと異なるのは、取り消しには一定の要件が必要ということです。その要件とは「業者の嘘の説明(=不実告知)を信じて契約にいたった場合」などに限られています。もし、業者の不実告知を客観的に証明できるならば、この方法を検討すべきです。中途解約は簡便な反面、消費者側に一定の金銭的負担を求めます。
一方、契約の取り消しは金銭的負担をゼロにする代わりに、消費者に一定の立証責任を課す制度だと考えられます。不実告知は多くの場合、口頭で(つまり証拠が残らない形で)行われます。立証には相当の困難が予想されます。を書面で解約の意思表示をしたうえで、多くの場合、事業者と本格的な解約交渉を進めることになるでしょう。クーリングオフ期間が過ぎてしまうと、通知書一通ですんなり解決という訳にはいかないケースが多くなります。
それでも意思表示をすることが第一歩となります。全額返金とはいかないまでも、事業者なりの条件で解約交渉に応じてくれる場合だって、決して少なくありません。逆に意思表示をしなければ、このままズルズルと支払いが続くだけです。
ここで重要なのは、意思表示の中身です。さまざまなケースがありえますので、「こうしたらいい!」と一概には言えません。勧誘方法に大きな問題があり、同じ事業者による同様の被害や相談が、消費者センターに複数寄せられているようなら、裁判を念頭に、できる限りの法的主張をしておいた方が有利なケースだってあります。
法定書面の不備や勧誘行為の違法性その他もろもろの状況を検討しながら、方針を立てることになります。
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