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マルチ商法・ネットワークビジネスをクーリングオフ・中途解約するには

マルチは、まず間違いなく破綻します。

資金繰りが怪しくなったら、手遅れです。

マルチ商法とは

マルチ商法とは、「あなたが○人に売ればこれだけの収入になる、その○人がさらに△人に売ったら、さらにあなたに自動的に報酬が支払われる」などと称して、消費者を販売組織に加盟させ、販売・勧誘活動をさせる手口です。

【ピラミッド式の組織構築】取り扱う商品は、教材だったり健康食品だったり様々です。呼称(マルチ商法、マルチまがい商法、ネットワークビジネス、MLMなど)も、その形態も、実に様々です。しかし、自分の下にピラミッド式に購入者や会員を増やしていくことによって収入が発生するシステムを持っている点は、共通しています。

【マルチ商法の現実】一攫千金を夢見て契約したものの、現実は予想をはるかに超えて厳しく、思うように新規会員を獲得できません。むしろ、それまでの人間関係がどんどん壊れていき、誰も自分に近づかなくなります。そのうち、知人名義を使い、自分で資金を負担して、取引があったかのように装うようになります(名義貸し)。

【危うい将来性】数ヶ月して、本部からのコミッション支払が滞り始めたときには、もう手遅れだと考えていいでしょう。あわてて解約しようとしても、本部にはすでに支払い能力がありません。そうなると、事実上、救済の道は閉ざされてしまいます。

マルチ商法の主な手口

以下に、マルチ商法の主な手口と解決方法をまとめます。

  • 友人、親戚、音信不通だった昔の知人などから、突然連絡が入る。
  • 次世代のニュービジネスが始まる。参加しないか。
  • 今までにない、全く新しいスタイルのビジネスだ。
  • 月商100万円も決して夢ではない。
  • (もっと現実感を持たせるため)月3~5万円程度の小遣いになる。
  • 興味を示すと「秘密の説明会があるから」と誘われる。
  • 説明会のあと、勧誘者と上位者による個別の勧誘が始まる。
  • あなたが組織に加入して○人に売れば、***円の報酬が支払われる。その○人がさらに△人に売れば、あなたにはさらに***円の収入が自動的に発生する。
  • その△人がさらに・・・を繰り返すと、上位の人に自動的に収入が発生するシステムを持っている。
  • 組織に加入するには、入会金のほかに、数十万円の商品を買う必要がある。
  • それくらい、すぐに取り返せるよと背中を押される。
  • さっそく契約し、周囲の人を勧誘し始めたが、誰も入会してくれない
  • それどころか、みんな自分を避け始めた。
  • 他人の名義を使って、自分で自分と契約し始める。
  • 収入の支払いが滞り始める。
  • 残ったのは、ローンの支払いと、大量の在庫だけだった。

マルチ商法は、商品・権利・サービスの種類を問わず、特定商取引法上の連鎖販売取引に当たります。

なお、勧誘メールに「完全合法!」などと記載してあるものをよく見かけますが、特定商取引法による厳しい規制で事実上の禁止状態だが、明文で禁止されている訳ではないという事実を誇張しているものと思われます。

マルチ商法でよく使われる商材

健康食品、ダイエット食品、健康関連器具、浄水器、ふとん、下着類、IP電話など通信ネットワークの権利やサービス、海外リゾート会員権その他諸々

マルチ商法の被害例

※以下の事例は、実際のご相談内容や全国の事例から、問題点明確化のため当職が創作したものです。

【事例1】高収入を夢見たが、誰も寄り付かなくなった。

高校の同級生から「久しぶりに会おう」という電話があった。待ち合わせた喫茶店へ行くと、同級生には男性の連れがいた。「○○社の会員になって下着を買えば、何%かお金が戻ってくるし、紹介した人が購入すると××円のバックマージンが支払われる。月収100万円も可能」と誘われ、高収入を夢見て契約した。さっそく周囲の友人を勧誘したが、誰も応じてくれなかった。それどころか、友人たちは自分に寄り付かなくなった。

※笠本注;マルチ商法は、かつての同級生や会社の同僚、親戚関係といった、個々人の人間関係を伝って広がる傾向があります。勧誘する本人は、夢を見ている真っ最中です。決して悪気はないのでしょうが、これまでの人間関係が一気に崩れていきます。

【事例2】在庫が貯まるばかり・・・

「次世代の通信システム」だと、IP電話と接続器機のマルチ商法について勧誘を受けた。説明を受けながら、「これはすごい」と思い始め、50万円の商品を購入して会員登録した。

自分も商品を広めようと、手始めに5台を仕入れ、周囲の人たちを懸命に勧誘したが、全く相手にされなかった。

1年頑張ったが、結局1台も売れずに途方に暮れている。

※笠本注;商品を再販するタイプのマルチ商法は、中途解約しても商品の清算が問題となることが多いようです。マルチの中途解約をご覧下さい。

【事例3】クーリングオフしたのにお金が戻ってこない

知人からの誘いで、マルチ商法の説明会に行きました。「夢が叶う」とか「全く新しいビジネス」とか「3ヶ月後には月収100万円を超える」などと熱っぽく言われ、その気にさせられてしまいました。ちょうどまとまったお金が必要だった事情もあり、海外リゾート施設利用権を40万円で購入しました。

その後業者に不審を抱き、すぐにクーリングオフしましたが、業者からの応答はなく、1ヶ月後くらいに社長名で「分割で返済する」と通知が来ました。しかし、1度も返済されないまま、業者とは連絡が取れなくなってしまいました。

※笠本注;こういうご相談が多いのですが、こうなってしまったら、当職はもちろん、弁護士や警察でも打つ手がないでしょう。

契約締結後の法的対処

期間内なら速攻クーリングオフ

マルチなど連鎖販売取引は、契約にいたる経緯に関わりなく、期間内ならクーリングオフができます。クーリングオフ期間は、適法な契約書面を受け取った日から20日間です。商品を再販するタイプの場合、商品の引渡し日が書面受領日よりも遅いなら、商品引渡し日から20日間がクーリングオフ期間となります。

この期間中にクーリングオフ通知書を証拠が残る形で発送しましょう。それが、現状では最も確実に契約解除できる方法です。

当職の対応方針は、クーリングオフ期間内の記事に記したとおりです。

期間が過ぎたら中途解約

マルチなど連鎖販売取引は、クーリングオフ期間が経過した後でも、契約の期間内であれば、加入者は「将来に向かって」契約を解除できます。業者の合意なく一方的に解約できます。

ただし消費者の側に、一定の精算義務が生じます。「将来に向かって」契約解除できる訳ですから、過去に提供済みのサービスについては、その対価相当額を消費者は負担する必要があります。さらに法定解約料が加算されます。また、購入した商品の返品などに別途ルールが定められています。

特に、商品を再販するタイプのマルチ商法では、仕入れた商品の清算が問題になることがしばしばです。

詳しくは、マルチの中途解約をご覧下さい。

クーリングオフも中途解約も通用しないなら

社会正義の観点から「これはひどい」と評価されるような場合は、クーリングオフ期間が過ぎたとしても、解約に導く以下の二つの方法を検討してみましょう。ただし、ここまできたら、当職は弁護士さんへの引き継ぎを検討することになります。

法定書面の不交付・書面不備

法律上は、クーリングオフできることが記載されていないなど、法定書面(多くの場合契約書)に一定の不備がある場合は、事業者が法の求める記載事項を満たした書面を交付するまでは、クーリングオフ期間は進行しない、というルールになっています。クーリングオフの起算日は「法定書面を受領した日から20日間」という規定からも明らかです。

法律にはこのようなことが書いてありますが、現実問題として、どんな些細な不備でもクーリングオフを認めるべきかどうかは、社会正義の観点から裁判官が判断します。裁判官も人間です。一般的傾向としては、その契約を当初から解除しなければ社会正義に反するという事情がある場合に、その根拠付けとして書面不備を使うケースが多いようです。

逆に言うと、どんな些細な不備でもクーリングオフ期間の進行が始まっていないと主張できるかというと、そういう訳ではありません。

契約取り消しを主張

契約の取り消しとは、要はクーリングオフ同様に契約を当初からなかったことにすることです。クーリングオフと異なるのは、取り消しには一定の要件が必要ということです。その要件とは「一定事項について業者の説明に嘘があり(=不実告知)、かつそれを信じて契約にいたった場合」などに限られています。もし、業者の不実告知を客観的に証明できるならば、この方法を検討すべきです。中途解約は簡便な反面、消費者側に一定の金銭的負担を求めます。

中途解約と異なり、契約の取り消しの場合は、契約を当初からなかったことにする一方で、消費者に一定の立証責任が課されます。不実告知は多くの場合、口頭で(つまり証拠が残らない形で)行われます。立証には相当の困難が予想されます。

書面で解約の意思表示をしたうえで、多くの場合、事業者と本格的な解約交渉を進めることになるでしょう。クーリングオフ期間が過ぎてしまうと、通知書一通ですんなり解決という訳にはいかないケースが多くなります。

それでも意思表示をすることが第一歩となります。全額返金とはいかないまでも、事業者なりの条件で解約交渉に応じてくれる場合だって、決して少なくありません。逆に意思表示をしなければ、このままズルズルと支払いが続くだけです。

ここで重要なのは、意思表示の中身です。さまざまなケースがありえますので、「こうしたらいい!」と一概には言えません。勧誘方法に大きな問題があり、同じ事業者による同様の被害や相談が、消費者センターに複数寄せられているようなら、裁判を念頭に、できる限りの法的主張をしておいた方が有利なケースだってあります。

法定書面の不備や勧誘行為の違法性その他もろもろの状況を検討しながら、方針を立てることになります。

その他、未成年による契約は親権者が取り消せるなど、民法の適用を検討することも考えます。

クーリングオフしたのにお金が戻ってこない

クーリングオフや中途解約をしたのに、業者が返金しないという事例は、マルチ商法に非常に多く見られます。その業者の

資金繰りが悪化し、回復困難な状態に陥っている

と見るべきです。

【クレジット契約の場合】「こういう事情なので、今後の支払を停めて下さい」という書面(支払停止抗弁書)を、クレジット会社あてに送付します。ここでいう事情が適法なものならば、今後の支払はストップし、それ以上の被害拡大を防げる可能性が残されています。

【現金一括支払済みの場合】誠に申し訳ございませんが、当職では有効な手立てをご提案できません。同様の被害に苦しむ人たちと「被害者の会」などを結成し、弁護士の助力を得ながら業者と交渉していく、場合によっては訴訟を起こすという道になると思います。

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